活版印刷はオリジナルコースターを生き生きとさせる技

活版印刷コースター

■印刷方法にはいろいろありますが

「印刷」と言うと紙にインキをのせることで、元の絵や写真、文字を紙に描き写すことですね。日常で当たり前のように触れているその印刷の方法には、いろいろな種類があることをご存知でしょうか?

版式によって凸版・平版・凹版・孔版等に分けられ、コースターによく使われるやり方としては、インクジェット印刷、オフセット印刷、活版印刷などがあります。耳にしたことはあるかもしれませんが、どのような方法なのか、名前を聞いただけではイメージが浮かばないのではないでしょうか。

それでは、その内容をざっと見ていくことにします。

■印刷方法とその特徴

インクジェット印刷は、家にあるプリンターでおなじみですね。デジタルデータを元に、ノズルから紙にインクを吹き付けて画像を転写します。版画やハンコのような、写すための元になる版を作らずに印刷することができ、小部数を製作するのに適しています。多色刷りも容易です。無版のオンデマンド印刷の1種類です。

オフセット印刷はインクジェットの場合とは逆に大量部数を刷るのに適した方法です。現在行われている商業印刷の主流方式でもあります。版についたインキをブランケットと呼ばれる転写ローラーに移し(オフして)、そのブランケットで紙に印刷する(セットする)のでこの名がつきました。一度ブランケットを介するためインキの厚みが薄くなり、色の鮮やかさやインキの立体感の点に少し弱さがあります。平版印刷とも呼ばれます。

活版印刷は、ハンコと同じ原理だと思えばわかりやすいでしょう。500年ぐらい昔から行われてきた、でこぼこのある版にインキをつけて、押して写すやり方です。力強い輪郭を出すことができます。その性質上、写真の印刷など精密画を写すことにはあまり向きませんが、コースターには1番使われている方法です。凸版印刷とも言います。

ちなみに凹版印刷は、ハンコとは逆にへこんだ部分にインクをつめて紙に押して写すもので、美術書等に使われます。孔版印刷は、版に穴を空けてそこにインキを通して写すもので、ガリ版刷りが有名ですね。

活版印刷亜鉛版・樹脂版

■活版印刷がオリジナルコースター作りにおすすめな理由

インクジェットとオフセット印刷は、ネットの激安印刷でよく使用されます。安価で色鮮やかに仕上がり、一見いいことづくめのように思えます。値段に引かれて激安印刷を選ぶ人はたくさんいるでしょう。でも、本当にそうなのでしょうか?

そもそも、オリジナルコースターに印刷をするのはなんのためでしょう。店の宣伝用、ノベルティ、個人的なイベントで配る・・・いろいろ理由はありますね。そしてそれはつまり、手にとって「いい」と感じてもらうため、そのような存在感をコースターに与えるためです。雑誌のカラーページのようにきれいな印刷も悪くはないけれど、そのような点では少し味わいやインパクトに欠けます。そのへんを補うのに適しているのが活版印刷なのです。

活版印刷だと印刷したとき、ふちの部分に圧のためにインキが溜まり(マージナルゾーン)、前述したように輪郭に力強さが生まれます。また微妙なへこみが、ぬくもりや個性といったものをかもし出します。その上、エンボス(浮き彫り)・デボス(へこませる)・型抜き・箔押し加工等に応用することもできるのです。そろって同じものではなく、1つ1つが息づいたものができあがります。

紙でできている以上、長期間保たせるわけにはいかない消耗品です。でも、少しでも長く記憶にとどまるものを作りたいですね。印刷方法の選択により、すばらしいデザインに、さらに質感の点でさりげなく華を添えることができる。オリジナルコースターは店やイベントの名脇役ですが、活版印刷はコースターにとってのそれであると言えるでしょう。

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