コースターは楽しむもの
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■コースターの役目とは
居酒屋やバーで、その店のオリジナルコースターを目にしたことがある人は多いでしょう。家でも身近な雑貨であるコースター。使う理由はいくつかありますが、最初に思い当たるのは、コップやグラスを載せるためでしょう。
冷たい飲み物を入れたコップやグラスにつく水滴を受け止めること。たいした役割ではないように思われがちですが、落ちた水滴によってつく白くて丸い跡、いわゆる「輪染み」は、これがなかなか取りにくいものです。消す方法としては、木のテーブルならバターやマヨネーズをすりこむ、大理石なら塩とレモン汁を使うなどがあります。表面を削ってワックスをかけなおさなければどうしようもない場合もありますので、なかなか曲者です。
それを防いでくれるコースターは、同時にテーブルやグラス双方を傷から守るという盾の役目も果たしています。小さくてもなかなか優秀ですね。
■色と味覚
では、コースターはただ、コップやテーブルを守るためだけに使うのでしょうか。
いいえ、それだけではもったいないでしょう。小さくてかわいらしく、手に取りやすいコースター。だからこそ、組み合わせやすいという利点があるのです。
例えば、食欲をそそる色、というのがあります。一般的には暖色系が食欲をわかせ、寒色系が抑える効果があると言われています。
人間の五感のうち、視覚の占める割合は8割以上です。味覚のプロであるソムリエに、白ワインを赤く着色したものを飲ませたところ、イチゴかラズベリーの味なのではないかと迷ったという実験結果もあるそうです。「目で食べる」という言葉は本当なのですね。
でも、いくら暖色系が食欲をそそるとわかっていても、真夏なら涼しげな色合いのほうが食べる気になりませんか?そのときの気分というものは重要です。
それに、効果が増す組み合わせというのもあります。お刺身の赤と紫蘇の緑は補色という関係で、これもいい相性です。トーストの茶にバターの黄のような、同じ色を含む類似色や、茶のココアをベージュのカップに入れる同系色も食欲をそそります。
だからといって、固く考えなくてもいいのです。わざわざテーブルクロスをかけかえたり、食器を買うときに考えこんだりするほどのことではありません。あなたの目にとって心地良い色が、今あなたが必要としている色や組み合わせです。そのお気に入りの色や、目を引く柄のコースターをコップやグラスのお伴に。そうちょっと意識するだけで、気持ちが少し引き立つものです。いつもと違う味がしませんか?
■こだわらなければ楽しい
コースターと言われて、どんな形を思い浮かべるでしょうか。丸でしょうか?それとも四角?
でも、コースターの形に決まりはありません。星でもハート型でもいいのです。
使い方だってそうです。コップやグラスの下だけに敷かなくてももちろん大丈夫。小皿や細めの花瓶を上に置く人はたくさんいそうですね。紙コースターなら、穴を開けて吊り、お部屋のインテリアにもなります。オリジナルコースターをドアノブから下げるのもいいかもしれません。
コースターの材質には木やコルク、金属、ガラスなど、さまざまなものがあります。中でも紙は、安価で加工しやすく、着色も容易な利点があります。いろいろな形、あらゆる色を試しやすいのです。
なんとなく決まった形があるような気がして、同じような使い方をしがちなコースター。印刷されたものは、ただそのまま使用することが多いでしょう。でも、その紙コースターに一筆書いて、メッセージカードにすることだってできるのです。
作りやすく、その後もどんな使い方をしてもいいコースター。
コップやグラスの下だけが居場所だなんてもったいない。色と柄を気軽に添えられるコースターをスパイスのように扱って、生活にちょっとした楽しみと新鮮さを呼び込んでみませんか。